米粉ニュース
2024.10.16
米粉関連企業など33社が参加する、米粉に特化したBtoB展示会を開催
製菓・製パン用の材料販売やレシピの配信を行うECサイト「cotta」を運営する株式会社cottaが、2024年9月11日、12日に“米・米粉の可能性を広げるBtoB展示会”を実施しました。米・米粉消費拡大推進プロジェクトの一環として行われ、米粉関連企業を中心に33社が出展。製菓、製パン、飲食の仕事に携わる約1350名の方が来場し、大盛況の2日間となりました。
米・米粉製品会社は9社が参加
米粉の魅力を体感する機会に
米粉市場の活性化を目的に、米粉製品やその活用法を提供するために開催された本イベント。米・米粉製品を取り扱う会社が全国各地から集結しました。
製粉事業を中核とする「熊本製粉株式会社」の米粉は、1947年の創業より培ってきた独自の製粉技術によって、お米の特徴を引き出しているのが特徴。パン、お菓子のそれぞれの用途にあったものを好みの産地で選べるようにラインナップしています。
「鳥越製粉株式会社」は、BtoBを主体とし、小麦粉やミックス粉などの業務用製品を提供する企業。老化の遅い米粉パン用ミックスや、しっとりふんわりの蒸しパンが作れる米粉蒸しカステラミックスなどを販売しています。
精白米を原材料にでん粉を製造する「上越スターチ株式会社」。澱粉損傷度が低く、粒子が細かい水挽き製法で製粉する米粉も取り扱っており、中でも「ブランネージュ」は、素材の風味を阻害しない製品です。
製粉会社ながら、パスタや冷凍食品などの食品事業も展開する「株式会社ニップン」。厳選した国産米で、パン・菓子・麺用の米粉を製造販売しています。また、秋田県産米にこだわった洋菓子専用米粉も業務用として販売。
「株式会社波里」は、粉砕方法と米の品種の組み合わせによって異なる米粉を、バリエーション豊富にラインナップ。米粉の風味、甘味を最大限に引き出した米粉を取り扱っています。
国内有数の米どころ、新潟県産南魚沼産のコシヒカリにこだわっている「株式会社From Now On」。コシヒカリのおいしさはそのままに細かく粉砕した白米米粉やアルファ化米粉、玄米全粒粉、きな粉、米ぬかパウダーなども製造販売しています。
「ネティエノ」は、自社で農地を耕作し収穫、製粉まで行う終始一貫生産を行う「やのくに純真米粉」を主力としています。こちらを使用した米粉パン工房やバウムクーヘンのお店も営業。
明治20年創業の「日の本穀粉株式会社」は、和菓子の原料となる“お米の粉”に始まり、現在まで米粉の製造販売に携わっています。「新規用途米粉は、それまで培ってきた技術を使い、パティシエなどのプロとともに改良を重ねた商品です。今回は、商品についてたくさん話を聞いてもらえ、とても嬉しいですね」と話してくれました。
「みたけ食品工業株式会社」は、業務用はもちろん、家庭用の米粉にも力を入れている企業。製菓・製パンはもちろん、からあげ粉やお好み焼きミックス、パンケーキミックスなども販売しています。展示会に参加し「個人店の方が多く来場していたので、実際に使う方とお話しできて良かったです。具体的な質問も多く、興味を持ってもらえていると思いました」と手応えを感じたそう。
そのほか、製菓・製パン材料が11社、資材包材・型が13社出展し、米粉を使ったお菓子やパンと相性の良い商品を中心に紹介を行っていました。
米粉の専門家・高橋ヒロさんによる
米粉との付き合い方を学ぶトークショー
米粉の専門家としてレシピ本や講演、オンラインサロンなどを通して米粉の魅力を発信する高橋ヒロさんは、現在の米粉の需要や、近年の米粉の質について言及。それにともない、消費者の認識も変わってきていると話します。
「アレルギーなどで小麦の代わりとして米粉を求めるという状況から、健康や美容のため、より良い食生活のためというように積極的に米粉を食べる人が増えていると感じています。以前は米粉を使ったものというだけである程度需要がありましたが、これからはそれでは難しい。どこを狙って商品を作るかも大切です」。
また、米粉を使うことの難しさについては、「ひと口に米粉と言っても品種や機会などによって、その種類は無限にあります」と高橋さん。そのため、初めて使う米粉は、使う前に触れたり、同量の水と混ぜて吸水具合を見たりしながらどんな米粉かチェックするそう。その上で、「何を作りたいかに合わせて米粉を使い分けている」と話します。
参加者からの「米粉を使っておいしさを追求する難しさ」について聞かれると、「私が米粉を使い始めた当初と比べて、製粉などの技術が高くなっているので、おいしい米粉は増えています。何を作るかにもよりますが、他の入れるべき食材を入れて作ってみると良いと思います」と語りました。
菅又亮輔パティシエが登壇
米粉クッキー誕生について語る
続いてのトークショーには、用賀の人気パティスリー「Ryoura」のオーナーパティシエである菅又亮輔さんが登場しました。菅又さんが商品に米粉を使うようになったのは、「cotta」からの依頼で米粉クッキーを作ったことがきっかけなのだそう。
「小麦粉アレルギーのスタッフがいるので、それ以前からスタッフと食べるために米粉のパウンドケーキなどを作ってはいましたが、商品化は考えていませんでした。というのも、小麦粉の味の深みが米粉にはないと感じているので、あっさりとした米粉でどうレシピを作ったら良いか分からなかったというのがあります」と米粉を使う難しさを語ります。
「米粉クッキーの味のベースはアーモンドパウダーを使い、生地が締まりやすいのでチョコレートやココナッツなどを混ぜると作りやすかったですね。米粉は砂糖の味が表に出やすいので、プレーンは素焚(すだき)糖(とう)を使用しました」と菅又さん。
また、参加者からの質問も受け付け、「クッキー以外に米粉が合うもの」を聞かれると、「パウンドケーキですね。また、コーンスターチの代わりに米粉を使ってみたら面白そうなので、やってみたいなと思っています」と、米粉の可能性を語りました。
また、「パティスリー&カフェ デリーモ」の総責任者として、シェフショコラティエ、シェフパティシエを務める江口和明さんのトークショー、出展企業の株式会社丸冨士によるセミナーも実施されました。こちらもたくさんの方が参加し、米粉への知識を深める機会となりました。
米粉の魅力や課題、可能性がクリアに
新たなアイデアを創造する機会に
本イベントには、製菓、製パン業の方を中心に、カフェなどの飲食店や料理教室の講師など様々な方が来場しました。
カフェを経営しているという来場者は、新しい食材との出会いやアイデアを求めているそう。「小麦アレルギーの対応もでき、日本の食材でもある米粉に興味が湧きました。お店でワッフルを出しているのですが、小麦のワッフルと米粉のワッフルの両方を提供し、選べるようにできたら良いかも」と展望を話してくれました。
また、米粉のクッキー販売を行っているという方は「米粉のお菓子が増えていると感じるので、クッキー以外のお菓子作りもしたい、他店と差別化するためのアイデアがほしいと思い来ました」と話します。展示会は2周したそうで、「様々な知識が得られて、参考になりました」と参考になった様子。
「同じレシピでも使う米粉で仕上がりが変わってしまうのがネック」とは、フレンチを中心とした料理教室を展開している方。しかし、「自分がおいしいと感じて、体に良いものをとりたいし、生徒さんにも提案したい」と米粉への興味も語ってくれました。
各企業の出店だけでなくトークショーも開催され、来場者の方々はそれぞれ米粉にまつわるさまざまな情報を収集し、新たなアイデアを得ることができたようです。この展示会での出会いをきっかけに、新たな米粉のお菓子やパンが生まれる…。そんな期待を感じさせてくれるイベントとなりました。