米粉ニュース
2025.02.28
2025年の米粉を取り巻く環境はどう変わる？ 2024年を振り返る米粉カンファレンス2025-春-を開催
米・米粉消費拡大推進プロジェクトによる「米粉カンファレンス2025-春-」が2025年2月6日に開催。新しい米粉の活用が進んだ2024年を振り返り、今年の米粉トレンドを発信しました。
2025年の米粉グルメのトレンドは⁉︎
選定グルメの試食も実施
開会の挨拶を行ったのは、農林水産省農産局 穀物課 課長補佐 齊官英雄さん。「2024年は米粉の消費が増えていると実感した1年でした。この流れを止めないように、今後も米粉塾、米粉タイムズを通して発信をしていければと思っています」。
続いては、米粉タイムズ エグゼクティブプロデューサーの小林健司さんが「2025年流行すると思う（流行させたい）米粉グルメ」を発表。「米粉パン部門」で選ばれたのは、挟む食材の多様化やアレンジが人気の「米粉ベーグル」。「スイーツ部門」で選出された「米粉チュロス」は、吸油率が低い米粉を使用することでヘルシーに作れることが評価されました。また、「ネクストブレイク部門」では、小麦粉・大豆粉・米粉・自家培養発酵種をブレンドした生地を使うイタリア生まれの健康的なピザのような料理「ピンサ」を選出。「米粉チュロス」や「ピンサ」は試食も用意され、来場者の皆さんもその魅力を体験しました。
「2025年流行すると思う米粉グルメ」の発表を受け行われたトークセッションでは、農林水産省 農産局 穀物課 米麦流通加工対策室長 葛原祐介さん、米粉専門家の高橋ヒロさんも登壇。代官山のピンサ専門店「BONTÁ ITALIA」のジョヴァンニさんがピンサを振る舞いました。
ジョヴァンニさんは「ピンサの生地は高加水で、米粉を使っていることで水分を長く保つことができます。また、打ち粉にも米粉を使うので、表面がカリカリに仕上がるんです」と米粉がもたらす影響について語ります。出来立てを食べてみて、「ピザよりも生地表面がカリカリでブオーノ！」（葛原さん）、「みんな好きな味だから、珍しいものですがすぐに受け入れられそう」（高橋さん）、「後味が軽くて、ヘルシーだと感じます」（小林さん）と感想が寄せられました。
今後の展望として「生地を冷凍しておけて、トッピングに時間がかからないのもピンサの特徴。様々なトッピングとよく合うので、日本の米粉を使った和風のトッピングの国産ピンサを提案したい」とジョヴァンニさん。
高橋さんは「消費者が外でも米粉グルメを求めるようになってきています。米粉で作れる映える料理であるピンサには期待しています」と話します。「流行すると思う米粉グルメは、おいしいだけでなく楽しさもある料理が選定されました。多方面から米粉の魅力に気付き、知って、楽しんでもらえたら」とは小林さん。葛原さんは「米の消費拡大は水田や生産者を守ることはもちろん、食材として可能性があるので、米粉の良さを最大限活かした調理法で、米粉をもっと楽しんでほしい」と語りました。
米・米粉消費拡大推進プロジェクトと
米粉に特化した展示会の活動報告
続いては、農林水産省 農産局 穀物課 新用途米穀推進班 新用途米穀推進第１係長 成田慈さんによる、2024年の米粉事業活動報告が行われました。「スタートして約1年の米粉塾は会員が300人ほどまで増え、『粉もんゼミ』『米粉を知るゼミ』『コメ麺ゼミ』を通じて、米粉を一緒に盛り上げてもらっています。また、消費者向け情報サイト『米粉タイムズ』は、米粉の専用サイトとして確立されてきたと感じています。また、全国14社が参加した米粉を使ったグルメフェア、米粉のスイーツレシピコンテストなどを行いました」。さまざまな活動を通じ、米粉の新たな可能性を発信してきたことを報告しました。
お菓子とパンに関する国内最大級のEコマースを運営する株式会社cottaの齋藤貴生さんは、米粉はニーズが高まっている食材だと紹介。また、2024年9月に行われた米粉に特化したビジネスフェアの報告を行いました。「製菓・パンのお店では米粉ニーズが高まっていますが、導入へのハードルを感じている、チャレンジして失敗しているという課題感がありました。そこで、33のメーカーの出展、トークショーなどによる展示会を開催し、1350名の来場があり、それぞれ商談にも繋がる縁ができました。改めて米粉への興味関心の高さを実感するとともに、今の活動を続けていくことの重要性を感じました」。さらに、2026年に2度目となる米粉に特化した展示会を実施予定だと発表しました。
米粉の新たな取り組みを目指す
カンファレンス参加企業がPR
まず最初に登壇したのは、自社工場で作る生米粉、引き立て生米粉を使用したパンや焼き菓子を展開するKOMETORAを運営する、藤永産業株式会社の藤永徳治さん。販売しているスフレやベーグルのこだわりのほか、今後国内外に販路を拡大したいという展望やイベント参加・主催の意欲について語りました。
全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会の専務理事・細田浩之さんは、海外輸出を目指す米、米粉、米粉商品、日本酒などのプロモーション展開について紹介。欧米などで行われる日本市では、グルテンフリーというライフスタイルの定着を感じたと言います。「しかし、米粉を使ったものの認知度は世界的には低いので、試食などを通して認知を広めたい」（細田さん）。
米粉を使ったパンやお菓子のメニュー、レシピ開発などのコンサルティングを行う株式会社dreaminのみやなりちあきさんは、「米粉を食べたことのない方に食べてもらうことが米粉業界がやるべきこと」との考えを発信。そこから、販売に悩む商材に米粉を合わせることで新しい価値を生み出す事業を展開しています。
株式会社ファンケル フードテック事業部からは藤田恵里佳さんが登壇。自身の経験から、徹底してグルテンを排除するのではなく、無理なくグルテンを控えるグルテンコントロールというライフスタイルを提案しているそう。そこで、グルテンコントロール生活を支える存在としてオープンしたのが「OKOME BAKERY」。「味に自信がある、毎日食べたいと思えるベーグルができました。グルテンフリーが浸透していない日本ですが、米粉のグルメの味は負けていないと思います」（藤田さん）
米粉利用拡大は新たなステージへ 他業種も注目する米粉の可能性
トークセッションには、米粉専門家の高橋ヒロさん、北海道に拠点を置く芸能事務所でテレビ番組や舞台、映画の作成も行うREATIVE OFFICE CUEの島森萌さん、スマートフォン関連の総合情報サイトとYoutubeチャンネルの運営を行うAppBank株式会社からマックスむらいとしてユーチューバーとしても活動する村井智建さんが参加。 まず、島森さん、村井さんが米粉との関わりについて紹介。
島森さんは、「弊社はエンタメ事業の会社ですが、北海道の食を応援したいという社長の考えから、食エンタメにも携わっています。コロナ禍の外食産業の縮小で国産米の消費が減少した時、何かできることがないかと考え始め、オープンしたのが北海道産米100%の米麺専門店『rice noodle comen（ライス ヌードル コメン）』です。お米のおいしさがダイレクトに伝わる、うどんに近い食感の米麺で、ボンゴレ、担々麺、牛肉麻婆などさまざまなメニューを提案しています」と語ります。
村井さんは「原宿でインバウンド向けのお店『YURINAN（ゆうりんあん）』を営業しています。元々は和カフェでしたが、中でもどら焼きが評判で専門店になり、鎌倉店もオープンしました。去年は原宿店で15万食を販売し、65ほどのキャラクターコラボを実施しています。お客様のほとんどが外国からの観光客で、『グルテンフリーはないの？』と聞かれることが多く、これに応えるために現在米粉を使ったグルテンフリーのどら焼きの開発を行っている最中。今、5人に1人の子どもが小麦粉アレルギーを持っていると言われているので、そんな方々にも楽しんでいただけると商品開発を進めているところです」。
「別業界が参入することで新しい風が吹いていると感じます。それぞれ持ってる強みを活かしていて、違うものを掛け合わせることが強みになることが面白い。今までの米粉の世界は深く掘っていく傾向にありましたが、『グルテンフリーが求められているから』と軽ろやかに取り込んでいくのは良い傾向。それにならって、さまざまな企業が『じゃあうちも』と米粉に注目してくれると良いですね」とは高橋さん。「おふたりの話から、明るい未来を感じた」と語ってくれました。
米粉タイムズから見えてきた
ユーザーが求める米粉に求めるコト・モノ
カンファレンスの最後に、小林さんから米粉タイムズで人気のレシピ、よく読まれているコラムを紹介。 「これらの結果を通して、簡単、自担、炊飯器、〇〇いらずというキーワードも見えてきました。また、健康や体重管理などへの注目が感じられる結果になりた。今後もSNSでのレシピ動画の投稿や米粉の相談室、米粉タイムズアワードなどを継続して行っていくほか、ユーザーとのコミュニケーションも積極的に取ることで米粉の利用促進をしていけたらと思っています。また、2025年に編集部が注目しているのは「ピザ」、「かき揚げ」、「上新粉 違い」、「種類」の4つのキーワード。また、パンに付属するキーワードとしてホームベーカリーなどにも目を向けていきます」と小林さん。今後も米粉タイムズを通して米粉に対する世間の反応、反響を見守っていくと語りました。
米粉の消費拡大が進むとともに、その将来性も注目された2024年を振り返り、より盛り上がりが予想される2025年。改めて米粉の未来を感じるカンファレンスになりました。
【米粉カンファレンスダイジェスト動画はこちら】
https://youtu.be/-dQB-6Hhd1U