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米粉は未来の食の課題の糸口に。飲食店にメリットが多い米粉麺

2024.11.25

米粉は未来の食の課題の糸口に。飲食店にメリットが多い米粉麺

ラーメンやうどんでもない新しい米麺文化を創造すべくゼミの活動もスタートし、新たな食ジャンルとして期待が寄せられている米麺。2024年10月1日から始まった「米粉フェア」に参画する大阪の焼肉店「明月館」では、米麺による冷麺をラインナップ。そこで、明月館グループの株式会社エム・ジー・コーポレーションで代表取締役社長を務める東正成さんから、麺作りから着手した苦労や未来の食の課題を見据えた取り組みについて伺いました。

手作りのサイドメニューも愛される老舗焼肉店

「明月館」は約55年前に私の祖父が創業した焼肉店。複数の取引業者からその時々で良い肉を仕入れておりロースやハラミが人気です。お肉への質へのこだわりはもちろんですが、キムチやタレなどの手作りを追求し、冷麺やスープまで“全ておいしい”を目指しています。

私は3代目になり、現在会長を務める父が会社として発展させました。現在は、高級で席数の多さが魅力の『明月館』3店舗のほかに、カジュアルなブランドの『ガンテツ』を3店舗、韓国料理店『明月』を1店舗経営しています。


食料自給率を危惧し、着目した米と米粉

来年、大阪では万博が行われますが、弊社も所属している大阪外食産業協会が民間パビリオンに参加することになりました。そこを未来の食や課題に対しての解決策を発表していく場だと考えた時に、米粉に着目したんです。食料自給率が低い日本の中で、自分が食べるものを自分たちで作ることができるのがお米で、しかし、それができなくなりつつある状況があります。その解決のために、外食からのアプローチも必要だと思ったのがきっかけです。そこから、万博で紹介できるような米粉を使った料理を考えることになりました。米粉は粉なのでいろいろな料理に使えますが、逆に選択肢が多すぎるので、どんな飲食店でも取り入れやすいということから、麺を作ることになりました。


食味だけでなく、飲食店でも使いやすさも満点の米冷麺が誕生

開発前にさまざまな米粉麺を試食しましたが、米粉の割合が多いと麺が切れやすくお店で使うのは難しいと感じていましたが、小麦粉と併用することでクリアしていきました。当初は温かい状態で食べる麺を考えていたのですが、これがなかなか上手くいかなくて…。そこで試しに冷麺にしてみたら、米麺との相性が良いことに気がついたんです。

その後は、グリコ栄養食品さんと徳山製麺さんとの共同開発で米麺を開発。3回ほどの試作で納得がいくものになりました。米粉は約30%含んでいて、冷麺らしい食感を出すために、押し出し式で作っています。今までにない食感が特徴で、味もおいしい自信作です。また、茹で時間が30秒と短く、時間が経っても伸びにくいのが飲食店で扱ううえでのメリットでもあります。米粉の量が課題で、もう少し増やしたものが作れればと、今後も開発に取り組んで行きたいですね。


人気だった冷麺を米粉&ヴィーガン食に!米粉フェアで登場

そうしてできた米粉麺は、万博だけでなく「米粉フェア」のメニューとして「明月館」で提供しています。店舗では、さまざまなスープやトッピングによる冷麺を提供するイベントを行なっており、その中でも人気があった「味噌冷麺(米粉麺)として10月からオンメニュー。かつお出汁を使っていましたが、今回はスープも全て植物由来のものに変更し、ヴィーガン食としてアップデートしました。当店は焼肉店ですが、ヴィーガンの方も一緒に来店してもらえたら良いなと考えていて、今後の可能性として5人グループのうち1人がヴィーガンだということもあるかもしれない。そんな時のために、多様性に対応しさまざまな方がひとつの食卓を囲めることを目指していかないといけないと思っています。

米麺の味噌冷麺もお客さまの反応が上々で『おいしい』と喜んでいただけています。現在は、フェアのみで米粉麺の冷麺を提供していますが、今後通常メニューの冷麺やピビン麺などもこちらを使用していけたらと考えています。


SDGsにも貢献。米粉冷麺の可能性に注目!

今回は、大阪外食産業協会に所属するほかの飲食店にも米粉を使ってもらいたいと考え、どんな飲食店でもメニューとして導入しやすく、スタッフが扱いやすい麺を開発しました。完成した麺は大阪外食産業協会の他社にもサンプルを試してもらい、結果多くのお店が取り入れてくれました。焼肉店「萬野屋」では冷麺を、中国料理店の「中華酒家 旺宴」では担々麺を、ほかにもお好み焼き店、ラーメン店などのお店が取り入れたいと言ってくれています。

扱いやすさや時短になる点などが飲食店向けではありますが、使うことで自然にSDGsに取り組むことができるのもメリット。飲食店でSDGsに取り組むのはなかなか難しく、「一応やってはいるけど…」となりがちなんです。しかし、米粉を使うことによって12の「つくる責任 つかう責任」の部分に携わることができるんですよ。とはいえ、この米麺の魅力は何よりも味だと私自身は思っているので、まずは食べてみてほしいですね。


店名/焼肉 明月館
フェア期間/2024年10月1日(火)~2024年11月30日(土)
フェア対象店舗/京橋店・焼肉彩苑がんてつの2店舗のみとなります。
https://meigetsukan.com/