米粉ニュース
2026.03.13
新潟・名立を舞台にした「米・米粉消費拡大事業」報告会と サンマルクホールディングスによる新商品の試食会をレポート。
株式会社AGRIKO(アグリコ)が米粉用米の生産拡大を目的に、米どころである新潟県上越市名立地区を舞台に進めてきた「米・米粉消費拡大対策事業」。米生産者に向けた検討会、米粉製粉工場見学、そして商品化と続いた施策もいよいよクライマックスです。施策の報告と株式会社サンマルクホールディングスが新たに開発した名立産米粉を使用した「米粉入りパン」の試食会が新潟県・名立地区で開催。その様子をレポートします。
冒頭にアグリコの小林さんは「昨年からはじまった『米・米粉消費拡大対策事業』も、いよいよクライマックスとなります。検討会や製粉工場見学、米粉グルメフェアでの試作開発協力など、みなさまに何度もご協力をいただき、本当にありがとうございました。米粉グルメフェアに続き、サンマルクさんが新たに名立産米粉を使用した「米粉入りパン」を開発し、販売してくださいます。いち早く試食しましたが、とても甘くておいしいんです。サンマルクのみなさまの間でも『使うお米でこんなに味わいが違うんですね』という話が出るほど、みなさんが作った名立産米粉のおいしさをダイレクトに感じられる仕上がりとなっています」と、感謝をのべました。
サンマルクホールディングスの成瀬さんは「昨年末のグルメフェアでは、NEWoMan新宿駅構内の『Petrichor Bakery and Cafe』にて、生地に名立産米粉を振りかけて焼き上げたピンサーレ2種類を販売しました。焼きあがるそばから棚が空になり、製造が間に合わなくなるほど好評でした。『生地がとてもおいしい』『食感がクセになる』というお声をいただき、噂を聞いたお客さまからもたびたび、『今日はありませんか?』と問い合わせいただいて。予想以上の反響に驚きました」と手応えを語ります。同グルメフェアをきっかけに、米粉製品の人気の高さを改めて実感しました。


今回新たに販売する名立産米粉を使用した「米粉入りパン」の生地を作るにあたっては何度も試作したそうで、20%、40%、60%と配合率を変えながら試した結果、米粉を40%配合することに決定したのだとか。
成瀬さんいわく「60%は弾力が強すぎて、20%ではもちもち感が物足りなかったため、お子さまにもおいしく召し上がっていただける、ほどよい弾力の40%に決定しました。小林さんもお話しされていましたが、私も試食したときに甘みに驚いたんです!お客さまにもこのおいしさをそのまま味わっていただきたいと思い、米粉入りロールパンと、こしあんを包んだあんぱんの2種類を作りました」と、その出来ばえを語ります。
参加者のみなさんには販売予定の2種類にくわえて、今日のために作られた、きな粉ロール、塩パン、チーズロールの3種類が試食として提供されました。「米粉パンには幅広い楽しみかたがあること、まだまだ可能性があるということを米生産者のみなさんにお伝えしたい」と、特別に焼いたそう。店舗で提供するパンに近いものを食べてほしいという成瀬さんの熱い思いにより、わざわざ上越市内にあるホシザキ北信越株式会社さまの上越営業所の協力を得て、当日の朝からパンを焼き、できたてに近い状態で提供されました。
「中にバターを入れてじゅわっと焼きあげた塩パン、クセのないチーズと合わせたチーズロールなど、みなさんがつくられた米粉はこんなにもいろいろな素材と相性がいいというのを体感いただけたら嬉しいです。焼きたてはもちろん、冷めてもふわふわもちもちな食感が保たれていておいしいですよ」と成瀬さん。
製粉について成瀬さんは「昨年に製粉工場を見学させていただいた栃木県の製粉メーカー『波里』さまにお願いしました。米粉には主に汎用性の高い米粉になるロール粉砕と、高速の空気渦によって粉砕することでより細かに仕上がる気流粉砕があります。それぞれの粉砕方法で粉砕した米粉を食べ比べた結果、名立産米粉の甘みとの相性もふまえて、気流粉砕に決定しました。どの店舗でも最高の状態でお楽しみいただけるよう、最適な状態で管理された生地を各店舗に届け、店舗で丁寧に成形・焼成してご提供いたします。米・米粉消費拡大対策事業を通して米粉の粉砕方法を知り、その違いに驚きましたし、パン作りの新たな知見を得られました」と話します。


成瀬さんの話を受け「作りたいものによって製粉方法から検討するというプロセスは、おいしい米粉パンを作るための必須条件になっていくのではと思っています」と小林さん。製粉に関しては、少量製粉における学びもあったといいます。
「令和7年産は米粉用米の生産ができなかったため、今回製粉を依頼したのは主食用として生産したコシヒカリのふるい下米を使用しました。玄米選別の際にはじかれる、粒が小さなふるい下米のため品質を安定させることが難しく、製粉量も少ない状況となりました。
お米の量が多い状態で製粉する方が品質も安定するため、今後に向けては量や、それに付随して変動する金額面が最終製品に影響していくと思われます。一方でサンマルクさまからは一等米、二等米でなくともパン用の米粉としてのクオリティはじゅうぶんというご意見もいただいたので、それも学びにもなりました」と大沼さん。
製粉方法が決定後、生地が完成してからはすぐに商品イメージが湧き、試作品製造はスムーズに進んだそう。「シンプルに食べていただくのが一番!と直感した」という成瀬さんは、「1週間ほどで試作の準備も整いました。想定していたよりも生地のふくらみも大きく、食べ応えのあるパンになりました。焼きたてはもちろんおいしいですが、少し冷めたほうがより甘みを感じるというのが私たちの感想です。特に私たちが事業展開する食べ放題業態では、どうしても常に焼きたてで召し上がっていただくのが難しいことも多いため、そうした点においても米粉のパンは魅力的ですよね。さまざまなバリエーションで展開できるイメージも浮かんだので、今後も継続して提供していけたらいいなと思うほど、よい商品ができたと実感しております」と今後の展望も話してくれました。
パンを食べた米生産者のみなさんも「ほんとに甘い」「以前食べた米粉パンとまったく違うおいしさ」「ふわふわで何個も食べられる」と話し、おいしさを噛みしめていました。「ふるい下米がこんなにおいしいパンになるなんて。いろいろ試行錯誤されたというストーリーも聞くことができてよかった」といった声も聞かれ、米粉パンを通して米粉用米を生産することへの興味も深まったようです。


みなさんの様子を見ながら、小林さんも笑顔に。「米粉用米を毎年安定して生産していただけるか、購入いただけるか、その米粉で作った製品をいかに全国へ届けるかなど、米粉の普及に関してはさまざまな課題があります。それらを解決するヒントやきっかけになればという思いで進めてまいりました。パンは生地の発酵具合が温度湿度で左右されるため、全国へ同じおいしさを届ける仕組みづくりも重要です。規模が小さいお店では扱える量が少なく割高になることも多いため、サンマルクさまとご一緒したことで、多くの人に手に取っていただける体制作りという点でも勉強になりました。冷凍技術の進化によって、それも可能になっていくのではと可能性を感じています。また前回の米粉グルメフェアを通し、米粉や米粉パンに対する反響が可視化されたことは大きな手応えでした。今回開発いただいたパンも、お客さまたちに食べていただけるのがとても楽しみです」と締めくくりました。
消費者へ広く米粉の魅力を届け、米生産者からの理解を深めた米・米粉消費拡大対策事業。確かな手応えがあったとともに課題も明確にされたことで、米粉市場がより発展する未来が垣間見える取り組みとなりました。
開発された米粉入りロールは、2026年3月にカジュアルフレンチの『ベーカリーレストランBAQET』を中心に、パンを食べ放題で楽しめるベーカリーレストラン業態の東京・埼玉・千葉・神奈川および新潟千秋を含む計31店舗。くわえてNEWoMan新宿店内にあるカフェ『Petrichor Bakery and café(ペトリコール)』では、米粉入りロール(税込290円)と米粉入りあんぱん(税込320円)の2種を販売します。自然の恵み豊かな名立区で育った米のおいしさを感じる米粉を使用したパン。ほかにない甘く優しいその味わいを、ぜひ体感してください。
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